VUCA時代を生き抜くために

2020.04.03

新型コロナウィルスが猛威を振るっています.パニック映画のような出来事が本当に起こるなんて誰が想像したでしょうか.ニュースにはあまり出てきませんが,アフリカ東部ではバッタの大群が農作物を食べ尽くし,これまでにない被害が広がっています.バッタはアフリカからアジアに向かってその勢力を広げてきているとも言われています.

VUCAとは,今の時代を表現する「Volatility(激動)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(不透明性)」の頭文字をつなげた言葉です.まさに,何が起きるのか予測することが難しい時代になってきたと言えると思います.だからといってわたしたちは手をこまねいてじっとしているわけではありません.

2015年の国連サミットにおいて「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」が採択され,17の大きな目標が立てられました.持続可能な世界を作るために世界中の人々が取り組むための目標です.これらの目標を達成しようと努力している矢先の新型コロナウィルス騒動です.

大きな災害が起きたからと言ってわたしたちはただじっと通り過ぎるのを待っているわけではありません.新型コロナウィルスの猛威を単に,危機であると捉えるだけではなく,これを一つのチャンスと捉え,乗り越えることで次のステージに立つことを考えなくてはいけないと思います.

「学習創造フォーラム(FiLC)」は,学びを実現するためのNPOです.わたしたちはこの出来事をチャンスと捉え,こういった状況のなかでどのように学びを進めていけるかいくつかの提案をして行きたいと思っています.対面で行う教育が難しくなってきた状況を鑑み,ICTを活用することで乗り越えていくことができるのではないかと提案したいと思います.このホームページにも探求学習支援事業として「自分で学ぶ,探求の世界」を公開し,自主的な学びを促しています.これからの時代は,「先生に教えてもらう学び」から「探求を通した自律的な学び」が求められます.こういう時期にこそ,積極的に学びを促進していくことをめざしたいと思います.

最後に私事ですが,本年3月末で大学を退職しました.これからは時間的に余裕ができますので,より積極的にNPO活動に力を入れていきたいと思います.皆様の協力の下,国内,海外を問わず,学びを深める活動に専心したいと考えていますので,どうぞよろしくお願いします.

NPO法人 FiLC(学習創造フォーラム)
理事長
久保田 賢一


理事長略歴

高校教師を経て青年海外協力隊(フィリピン共和国・理数科教師)に参加。その後国内外の国際協力活動に従事。米国インディアナ大学にて博士号を取得した後、関西大学総合情報学部に赴任。現在はバングラデシュやミャンマーなどでの教育支援に取り組んでいる。

■最終学歴
米国インディアナ大学 教育システム工学科 修了 Ph.DInstructional System Technology
■現職
関西大学総合情報学部・教授
■著書
「ライフワークとしての国際ボランティア」明石書店、2005年
「大学教育をデザインする」編著、晃洋書房、2012年
「高等教育におけるつながり・協働する学習環境デザイン:大学生の能動的な学びを支援するソーシャルメディアの活用」編著、晃洋書房、2013年
「主体的・対話的で深い学びの環境とICT:アクティブ・ラーニングによる資質・能力の育成」編著、東信堂、2018年
「大学のゼミから広がるキャリア:構成主義に基づく「自分探し」の学習環境デザイン」監著、北大路書房、2020年